【Vol.175】 同業他社は競争相手か、それとも協業相手か?

今年の2月、米メディアより、米アマゾンが本格的に
配送ビジネスに参入するという発表があり、
その新サービスは、「Shipping with Amazon」という名前だそうです。
その新サービスは、商品の集荷から配達まで、
自社の配達網でまかなうことを目指しているとのことです。

アマゾンが物流に進出をしていく背景には、
荷物の輸送コストが、年3-4割のペースで増えており、
2017年だけで2兆円を超え、今後も増える配達需要を
自ら取り込んでいけば、新たな収益源になります。

アマゾンは重荷である物流を、商機でもあると考えており、
自社により配送サービスを拡大しようと、カリフォルニア州で
試験運用を始めていると言われています。

毎年コストに合わせて、料金を見直しているUPSでも、
人手不足や配達員の時給上昇が重く業績にのしかかっており、
そういう配送業界の事情もあり、輸送コストの負荷が、
新しい事業へと突き動かしたのかもしれません。

「ライバルだが良い顧客。アマゾンが配達能力を高めても、
大口の顧客であることは変わらない。物流の世界では、
ライバル企業同士が配達を部分的に請け負うことも多く、
お互いがお互いの良い顧客となりうる。」

UPSの幹部、グレッグ・ブラウン氏は、そのように言っています。

UPSは今年、物流施設の高度化や大型貨物機の購入に
年間売上高の10%に相当する、約7,600億円を投じて、
対抗していくと言われています。

UPSのような既存の物流会社にとっては、
これまでの最大の顧客だったアマゾンが一転して、
ライバルになる可能性があります。
そういう意味において、同業他社との差別化を図っていくために、
戦略的な投資を行い、市場のニーズに応えていこうと
次の一手を打とうとしているのかもしれません。

一方で、ブラウン氏が言うように、ライバル企業同士が手を結び、
補完関係を作ったり、お互いが助け合ったりと、
競争するところと、協力し合うところと、
同時に2面性を持つという、そういう新たな時代の流れが、
ますます進んでいるようにも感じます。

日本の自動車メーカーにおいても、技術提携や業務提携が進み、
住宅メーカーや保険業界においても、さまざまな分野で
協業が進んでいるように思います。

競争相手について、ピーター.F.ドラッカーは、
次のように述べています。

直接の競争相手とみなしている製品やサービスが、
本当の競争相手であることは稀である。

では、ドラッカーのマネジメントの基本と原則において、
誰を競争相手と見なすのか?

顧客が求める「価値」を軸に競争相手を認識する。

そのように言われています。

・誰が顧客になりうるか?
・本来、誰が顧客であるべきか?
・本当の競争相手は誰なのか?

私たち経営者や経営チームは、乱気流の時代、
世の中の変化が激しい時代だからこそ、もう一度、
シンプルな問いではありますが、この深い問いを、
問いかけてみてもいいかもしれません。

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