【Vol.47】 パワーハラスメントへの取り組みに対する想い

経営者・トップマネジメントチームが認識をしておくべきこと

ハラスメントにはいろんな種類がありますが、
とりわけパワーハラスメントに関しては、メンタルによる問題に直結しており、
社会的な問題にもなっています。

何か問題が起きてメディアに載ってしまうと、社会的信用を失い、
今後の企業の存続にも、大きなインパクトを与えます。
そして、それが起きたときの企業損失も計り知れないものです。

よって、私たち経営者・トップマネジメントチームと人事、
そしてコンプライアンス部門は、

「パワハラはどこの企業にもあること」

と、問題に目をつぶることなく、目線を上げて、
リスクの芽を速やかに摘んでいかないといけません。

「ハラスメントは一切認めない!」

社内に向けてそう断言できるぐらい、トップが変わらないといけません。
そしてトップから、

・「組織としての在り方」「リーダーとしての在り方」を整えていくこと
・社員の皆さんにとって、働きやすい環境を整えていくこと
・そういう企業文化を創っていくこと

それがトップマネジメントチームと人事部が担うべき、
大きな役割の1つではないかと、そのように感じています。

経営者が絶対に避けないといけないリスクは、

・社員の方がメンタルに問題を抱え、休職をしてしまうこと
・社員の方が自ら命を絶ってしまうこと
・退職をした社員の方から、訴えられること
・リクルーティング会社に、マイナスイメージを与えてしまうこと
・メディアに取り上げられ、社会からブラック企業のレッテルを貼られること

パワーハラスメントは増加傾向にあり、実際、企業から大手弁護士事務所への
相談も増えているとのことです。

経営者(経営幹部・人事責任者)であるあなたにとって、
社員の命はどの程度の重さですか?

真のリーダーシッププログラムができた背景

年の瀬が押しせまる喧騒感と、クリスマスが近づいてきて、
ワクワクする楽しい季節。今でも忘れません、
それは2011年の12月に、実際に起きた出来事です。

後輩の同僚が、自ら命を絶ちました。
それは、入社2年目の若い女の子でした。

彼女はパフォーマンスがよくないため、
PIP(Performance Improvement Plan)による上司との面談を
繰り返したそうですが、結果、上司(会社)から見放され、
他の仕事を探すように言われたそうです。

その矢先に起きた出来事でした。誰にも相談ができないまま、
彼女は自ら命を絶ってしまったのです。後になって、
そのことがわかったのですが、もう後の祭りでした。

私自身も、彼女とはパートナー関係にあり、彼女とは共に
部門を支えるためのオペレーションチームの仲間でした。

何もしてあげられなかった悔しさと、無力感、脱力感・・・

忙しさのあまり、彼女を気遣う時間もなく、
人として接して上げることはできていませんでした。

問題 = その人

私たちには、つい、そのように捉えてしまうところがあったのかもしれません。

年度末の決算を控え、忙しい時期なのに、
私や周りの関係者だけでなく、部の社員全体が、

「何もしてあげることができなかった・・・」

そのような無力感を感じ、仕事に集中ができない日々が続きました。
私たちは、クリスマスも年末年始も、とても祝う気持ちにはなれませんでした。

お互い毎日顔を合わせても、ろくに言葉を交わすことすらできず、
部門から笑顔は消えていました。
そして、ろうそくの灯し火が消えたかのように、雰囲気は真っ暗。
私たちは、同じ職場の仲間を失うという、
とてもつらい、悲しい体験をしたのです。

当事者であるリーダーは、人に怒りをぶつけたり、
厳しい言葉で罵倒をするような、
パワハラをするようなリーダーではありませんでしたが、
リーダーの「たったひと言」で深く傷つき、
そのようなことになってしまったのです。

「厳しい言葉」というのは、リーダー志向の部下には、
いいモチベーションになることもあるかもしれませんが、
大半の社員には通用せず、時として社員の心が折れてしまうこともあります。
それは、役員クラスでも、事業本部長クラスでも起きうることでしょう。

彼女からすると、上司からそのように言われてしまったことは、
パワーハラスメントを超えるようなものだったのかもしれません。

「頭の良さは人を傷づけることもある」

と、鈴木 真奈美さんはおっしゃっています。

組織の中で仕事をしていると、優秀なリーダーと言われている人たちは、
乱暴な言葉や態度でなくても、部下や周りの人を、
知らないうちに傷づけてしまうことがあるのかもしれません。

幸い、会社としても、部門責任者としても、訴えられることはありませんでしたが、
部門責任者は降格・異動となり、部下を持たずに違うミッションを新たに担いました。

しかし、社内にはいろんな噂が広まってしまいました。
そして、半期ごとに行われる各部門からの発表で、社長からは否定され、
激しく攻撃され、それを聞いているのもつらかったです。
結局、そのリーダーは信用を無くし、会社にいづらくなり、退職されました。

リーダーが未熟だった。

そのひと言につきるかもしれません。
そのリーダーの方は、法的に罰せられることはなくても、
今後一生、大きな十字架を背負って、生きていくことになります。

ある弁護士さんは、

民法709条の不法行為の条文にある、故意又は過失によって、というのは、
人としてこうあるべきであるのに、注意義務を果たさなかった

そのように問われるとおっしゃっていました。

パワーハラスメントは、被害者だけではなく、その周囲、
そして加害者や企業全体にも大きなダメージを与えるのです。

私の使命は何か?

パワーハラスメントに関して、企業の考え方は、本当にさまざまです。
でもせめて、自分の周りにおいて、

このようなことは二度とあってはならない。
そういう悲劇を繰り返してはいけない。

と、そう誓いました。

少しでも世の中のパワーハラスメントを減らし、
魅力的なリーダーを増やしていくことによって、
もっともっと幸せな人を増やしていきたい。

部下の育成・指導をするための知識、能力スキル、コンピテンシーであり、
メインストリームとなるコーチングの基本と原則をさらに広めていきたい。

そういう想いから、真のリーダーシッププログラムを創りました。

それは、ドラッカーのマネジメントの基本と原則と同じぐらい大切で、
繰り返しの思考と習慣が必要です。

私一人の力では、この大きな社会問題に太刀打ちすることはできないかもしれません。
皆さまのお力添えを頂けると幸いです。

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