【Vol.151】 ドラッカーに学ぶ 事業の目的とは

11/17日付の朝日新聞で、日産自動車のコンプライアンス違反の
問題報告に関する記事が掲載されていました。
ポイントをまとめると、以下の内容になります。

・不正を問題視する従業員もいたが、内部通報制度が機能しなかった。
・多くの従業員が法令違反だと認識し、問題視する声も上がったが、
上司が深刻に受け止めず改善されなかった。
内部通報制度もあったが機能しなかった。
・業績の数字を追い続けてきた「ゴーン流」の経営のひずみが生産現場にたまる。
・品質向上とコスト削減にどれだけ真剣に取り組んでいるかによると、
ゴーンさんが追浜工場で強調。
・仏ルノーも含めた工場間でコスト削減を競わせ、安い工場でつくるのがゴーン流。
・本社が数字を頼りに決めた効率最優先の生産計画が、現場に負担を強いていた実態。
・期間従業員を完成検査員にするには相当の期間、付きっきりの指導が必要で、
先輩格の従業員に負担がかかる。
・工場では、無資格検査について「現場限りの話にすればいい」などと
内輪で判断し、同じ工場の管理層すら把握していない。

赤字経営に陥った際に、クロスファンクショナルチームを設け、
社内の問題を整理しながら、風通しのよい組織へと舵を切ってきた
日産ですが、「コミットメント」(必達目標)の経営が長くなり、
業績の数字を追い続けてきた経営のひずみが、
表に出たのではないかと、そのように感じます。

問題が認識されていたにもかかわらず、上司が深刻に受け止めなかったと、
リーダーの問題意識の低さを含め、すぐには解決できない、
根深い大きな課題があるように感じます。

ひょっとしたら、それ以上に、コミットメントの
プレッシャーが大きかったのかもしれません。
私自身、外資系で働いていた経験があるので、そういうことが
起きていたのではないかなと、そのように思います。

具体的に言うと、社内で必ず達成をしないといけないと
そのように言われている数字(目標)があり、
そのためにベストを尽くしていく。四半期ごとに、
その期の目標をコミットしていくオペレーションです。

そうすると、何が起きてくるかというと、その部門に携わる関係社員は、
部門や自分の目標達成のために、内向きに仕事をしていきます。
顧客を向いていない状態、使命感がないまま、
社内の目標にコミットを求められている状態で、
顧客に対しては、取り繕ったり、お願いをしたりするような
こともでてきます。

何のために仕事をしているのかというと、個人レベルにおいては、
良い収入を得たいとか、本社から表彰され、社内的に成果を
出した優秀な社員だけが集まるハワイでのイベントに
今年も行きたいとか、家族もあり、クビになりたくないので、
何とか数字を作らないといけないなど、仕事の目的が
私利私欲や、生き残り戦略になってきます。

日産のようなグローバル企業や、外資系日本企業では、
目標の必達、そしてシェアホルダーを重視する
オペレーションが、経営トップから走ります。

そういう企業においては、何年経っても使命感がなく、
毎年降りてくる数字の達成と、自分のポジション維持と、
社内での存在価値を高めるために仕事をする。
悲しいですが、それが現実で、今も尚、そういう企業が
多々あるのかもしれません。

事業の目的は、企業の外に求めなければならない。

ピーター.F.ドラッカーは、そのように言っています。

何のために事業をやっているのか?

その事業の目的、私たちの仕事の目的を内に求めると、
私利私欲になってしまいます。よって、

事業の目的の有効な定義は、「顧客を創造する」ことである

ドラッカーのマネジメントの基本と原則では、そのように言われています。

いずれにしても、上に物を言えない組織風土、
企業文化を醸成してきた経営責任は問われるでしょうし、
私たち、組織のリーダーのリーダーシップと、
リーダーとしての在り方が大きく問われています。

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